Civil Watchdog in Japan

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Sunday, February 11, 2007

スイスの小児科医師会が幼児、子供のテレビやコンピュータ・スクリーンの見過ぎに警告を鳴らす

最近テレビ番組作成のやらせ問題がわが国でも問題となっている。これも今に始まったことではないが、幼児や少年期のテレビやPCの見過ぎが幼児等の精神面、感情面、精神運動面の発達等への影響を分析したスイスの小児科医師会編集による最新版の小冊子がスイスの両親向けに公表・配布された。
 スイスらしいと感じたのは、この小冊子の配布者がスイスの最大手の健康保険会社(Krankenkasse,Caise D’assurance-maladie)であるCSS Assurance が作成し、その入手のためにはある程度の個人情報を提供するインターネットでの申込を行わねばならない点である。(筆者注1)
 筆者としてはそこまでしてもと思い、今回は不本意ながらメディア情報の要旨のみ紹介する。
 また、たまたま発見したのであるが、スイスの小児科医会が編纂した平易な家族向け医療の手引き(「リアン、ケイトやその他の子供が病気になったとき:両親へのアドバイス」)はインターネットから入手可能である。この手引き は英語版があり、その内容は4編から構成、家族で読めるよう平易な解説で読みやすく作られている。(筆者注2)
なお、筆者の関心はもう1点あり、極めて複雑な「スイスの医療保険制度」であるが、これについてはスイス社会保険庁(Bundesamt für Gesundheit:BAG)のサイト情報等に基づくスイス在住の女性グループによる丁寧な解説サイトがあるので、省略する。(筆者注3)

1. 医師や教師の警告内容
(1)チューリッヒのある幼児学校の先生は何人かの2歳から4歳くらいの幼児が学校に来る前に見ていたテレビの話をするときに荒唐無稽(mind boggles)な話しをする傾向の増加が見られるが、その原因はテレビの見過ぎでありかつ多くは一人で見ている。
スイスの小児科医会は本小冊子で、14歳以下の子供は1週間に7時間から10時間以上テレビ等見せるべきでないと警告している。この警告は決して道徳的な意味をもたせているのではなく、親の関心を高めることを何よりも重視している。
(2)子供の成長と発達に関する章では、「あなた方両親は1週間当たり多くの時間をテレビやコンピュータの向かい合って過ごすことが、子供や幼児の身体的、心理面での発達の妨げになることを知っていますか」と問いかけ、さらに同医師会のニコル・ペラウド(Nicole Pellaud)は、「テレビは物事の認識、感情や精神運動性に関してそその必要性を満たしていないし、また年齢相当の他の適切な刺激を受ける機会を奪い、将来必要となったときには「テレビ」の中で見られた解決策のみに頼ることになる」と述べている。

 2.テレビ等の適度な利用
  テレビはある種の技術(skill)を会得する何かを持ってはいるが、テレビはとりわけ幼児にとって本来設計されたものではない。すなわち、そこにあるものは本物の動きや色ではないバーチャルな世界である。したがって、1日の中で極めて限定した時間に限りかつ大人が常に付き添って見るべきでものである。
スイスの10代の子供たちは平均して1日に4時間テレビを見ており、これは米国の同世代と比較して約3倍である。

3.健康や精神面への被害
  仮に①スクリーンの前で長時間過ごすこと、②その内容の2要素が結びついた場合、それらは極めて短い時間に非常に攻撃的な行動を引き起こす。「本」にはこのようなマイナス効果は見られない。
また、食物に関する章ではテレビの肥満効果について過小評価されており、テレビでは大量に生産された食物の効果のみもてはやすことそのものが国民の健康に対する本当の被害を与えるものであると述べている。

4.小冊子の内容と配布部数
 スイスでは、この健康小冊子を子供が生まれるとその両親に寄贈され、また両親は子供の健康診断時にこの小冊子を必ず提示する。そのため、助産婦や小児科医のために子供の発達記録を書き留められるよう記載欄等が設けられている。その他に一般的な子供の発達に沿った情報等が織り込まれており、スイスの両親の90%が利用しており、2005年には67,000部、2006年には89,000部が印刷されている。

(筆者注1)インターネットでの申込みはドイツ語、フランス語のいずれかのみである。
無料であり、関心のある向きはチャレンジされたい。なお、申込の手順がやや複雑なので説明しておく。①CSS Assuranceの発刊物一覧を開く→②「Carnet de santé pour l’enfant」を選択し、言語と部数を指定する→③continuerをクリック→④個人情報登録画面→⑤envoyerをクリックする。
(筆者注2)この小冊子は40頁ものであるが、絵などを多用したためか34.68MBもある。
各編の項目のみ紹介しておく。
第1編:子供にための日常医薬薬の準備
第2編:いざと言うときの観察とチェック
① 発熱、②熱病発作(febrile convulsions)、③咳、④のどの痛み、⑤耳痛、⑥発疹(Rashes)
⑦異物の飲み込み、⑧動物に咬まれた、⑨虫指され、⑩頭痛、⑪嘔吐(Vomiting)、⑫下痢、⑬胃痛、⑭ヘルニア、⑮便秘
第3編:緊急事態
① 窒息(Suffocation)、②痙攣(Convulsion)、③昏睡(Coma)、④中毒、⑤事故(やけど、感電、溺死)
第4編:0ヶ月から3ヶ月の間の赤ん坊の健康管理チェック

(筆者注3)スイスの医療健康保険制度についての解説サイトのURLを紹介する(グルエッチへの投稿記事「6.スイスの医療制度」)。なお、今回の原稿を書くにあたり始めて発見したのが、このサイト「スイス日本ライフスタイル研究会」である。国際結婚し、スイスで永年暮らす女性7人が本の執筆を機会に立ち上げ研究会である。スイスの年金制度改革や医療保険制度等、実際にスイスで生活した体験に基づくものであり、日本女性の分析力、積極性に敬服する次第である。
http://web730.gamma.ibone.ch/toshimi/index1.html

〔参照URL〕
http://194.6.181.127/eng/swissinfo.html?siteSect=105&sid=7447744

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