Civil Watchdog in Japan

情報セキュリティ強化、消費者保護、情報デバイド阻止等、電子政府の更なる課題等、わが国のIT社会施策を国際的な情報に基づき「民の立場」で提言

Saturday, October 07, 2006

オーストラリアにおける消費者金融教育と年金問題(その1:金融クイズ)

預金金利の低迷と株価等の高騰を背景として「貯蓄から投資へ」と言う言葉が一般的になってきた。しかし、問題は2007年問題と言うより大量の退職金をターゲットとする銀行、証券、生損保等各金融機関の売込みが今後急速に拡大し、それに伴う金融トラブルがますます広がることが懸念される。
さらに、少子化時代を迎え公的年金制度の限界も取りざたされている。本ブログはこれら社会問題を真正面から取り上げるのではなく、金融商品のリスクや年金問題について消費者教育における海外との比較を行うことが目的である。
わが国で金融教育サイトといえば、まず思い出すのが「金融広報中央委員会」のサイトであろう。一方、本ブログでも、過去紹介してきたオーストラリア証券投資委員会(Australian Securities & Investments Commission)の消費者向け専用サイト「fido」(筆者注1)で最近掲載された金融クイズがある。この両者のサイトの内容の比較を通じて、これからの消費者金融教育(あまり直訳過ぎるこの言葉は好ましくないが、とりあえず使用する)についての課題を数回にわたり提起する。
なお、当然のことながらわが国と豪州では消費者金融の商品スキームや税制なども異なるし、また年金制度もわが国の公的年金を基本(筆者注2)とするものより確定拠出型個人年金を主たるスキームとする等、単純な比較は無意味である。
しかし、それらの差異を含めても消費者金融教育の社会的重要性は変わらないと考える。
 今回は、fidoサイトから「金融クイズ」6つの質問を紹介する。回答方法は簡単なので、多少英語(豪州英語の知識も必要)に自身のある人は直接サイトのアクセスされたい(筆者注3)。正解と解説が直ちに戻ってくる。その他の人は、次回の本ブログで正解と筆者の補足説明を見ていただきたい。

質問1:あなたは年利7.5%の住宅ローンの広告を読みました。その数字の次に「比較利率(comparison rate)」として7.85%と書かれていました。この「比較利率」はどのようなことを意味しますか。
①現在提供されている類似の住宅ローンの平均金利のこと。
②広告されている住宅ローンについて金利プラス各種手数料を加えた金利のこと。

質問2:アレックスはちょうど自宅の改築工事を終えました。改築後の家は従来付保していた家の2倍の価値があります。改築後の家に住宅保険付保のため彼はどのくらいの費用がかかるでしょうか。
①一般的に、保険料は2倍となる。その理由はアレックスは2倍の保障を得るのであるから。
②一般的に、厳しめに見て保険料は2倍以下である。

質問3:キムは決済用残高の金額に拘らず6カ月間特別定低利の金利を適用するという理由から新しいクレジットカード手に入れました。キムは3,000豪ドル(約258,000円)を決済口座に移しました。その後、キムはこのカードで600豪ドル(約5,200円)使い、カードの月次計算書が着き次第600ドルを支払ったとすると、特別低利は残高で残っている3,000ドルになお適用されるのでしょうか。
①はい
②いいえ

質問4:サムは年利16.5%のクレジットカードで3,000豪ドルのキャッシングをしました。サムは毎月の支払額につき月次計算書に表示された「最低返済額(minimum payment due)」で返済します。サムが全額を返済し終えるのに何年かかるでしょうか。
①約31年
②約4年

質問5:23歳のナッツは今仕事を始め、年間45,000豪ドル(約3,870,000円)の収入があります。もしナッツが退職後の収入確保のために老齢退職年金(super;superannuationのこと)として1,000豪ドル上乗せして積んだ場合、65歳(受給開始年齢)までに上乗せしない人と比較して総受給額はどのくらい差がつくでしょうか。
①約83,000豪ドル(約7,138,000円)
②約145,000豪ドル(約1,247,000円)

質問6:典型的な55歳の女性が95歳以上で生存している確率は。
①3人に1人
②10人1人

(筆者注1) 2006年1月11日付ブログ「オーストラリア証券投資委員会(FIDOサイト)が新年早々金融詐欺をめぐる「絵に描いた餅賞」を公表」参照。

(筆者注2)海外の主要国においても公的年金を補完する個人・企業年金において確定給付型から確定拠出型のへのシフトが起っていることは周知の通りである。わが国におけるこれらの問題を論じた公的審議会や論文が多い一方で、金融広報中央委員会のサイトでは個人確定拠出年金や企業年金の解説等は行われているが(ただし、執筆者がすべて外注とはいかがか)、年金計算書シュミレーションの対象は公的年金のみである、次回以降詳しく紹介する豪州の場合は計算シュミレーションだけでも大分類で「年金計算」と「その他」に区分、さらに「その他」では①老齢退職年金、②合同運用ファンド、③複利、④リスクとリターン、⑤収入に応じた予算計画、⑥クレジット・カードの返済計算、⑦クレジット・カード等複数のローンを受けている場合の計算、⑧年金生活でどこまで耐えられるかの計算、⑨持ち家担保融資(リバース・モアゲージ:最近わが国でも話題となりつつある)がどこまでもつかの計算である。欧米流の自己責任を基本としながら、社会として協力する姿勢が見られる。

(筆者注3)直接fido サイトからチャレンジされる方は次のURLを開き、次に「Money quiz」を開くこと。
http://www.fido.asic.gov.au/fido/fido.nsf/byheadline/FIDO+Questionnaires?opendocument

〔参照URL〕
fidoの退職老齢年金専用サイト(あくまで年金基金が中心になっているが)
http://www.fido.asic.gov.au/fido/fido.nsf/HeadingPagesDisplay/Superannuation?OpenDocument

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