Civil Watchdog in Japan

情報セキュリティ強化、消費者保護、情報デバイド阻止等、電子政府の更なる課題等、わが国のIT社会施策を国際的な情報に基づき「民の立場」で提言

Sunday, October 08, 2006

オーストラリアにおける「美しい日本」の紹介

筆者が愛読しているオーストラリアのクイーンズランド大学(The University of Queensland)の学報(557号)で面白い特集に出会ったので紹介する。安部新総理が書かれた同題の本「美しい国へ」はまだ読んでいないので標題の意味は単なる言葉の比喩である。
要は海外で日本文化のある一面がどのように見られているかについて紹介したかっただけである。
同号のカバー・ストリーでありタイトルは「silk degrees」である。筆者は始めに日本の伝統技術である「絹」を褒め称えた表現と思ったが実際は違うようだ(筆者注1)。記事の内容とタイトルの意味を以下の通り簡単に要約しておく。
「美しい日本」の文化や伝統を海外に正確に広める努力を我々は真に行っているのであろうか。さらに世界に通用する「美しい日本語」の普及にどれだけ努力しているであろうか。オーストラリアの大学の取組み例を紹介する。

○8月末に同大学の日本語・比較文化研究所(UQ’s School of Language and Comparative Culture Studies)の協賛のもとで、同大学の日本語教育の40周年を祝う式典がアベル・スミス階段教室で行われた。まず、手の込んだ髪型、人目を引く化粧で魅了する花魁(courtesans)(筆者注2)の伝統的舞踊で始まった。
また、花魁道中と5人の踊り手による日本舞踊が行われ、また一方で社会科学・人文科学資料館が保有するものの展示や日本語コンテストが行われた。

○ 下関伝統舞踊協会による道中や舞踊の後に、ジェームズ・メアリー・エミリア・メイン・センターで招かれた過去の卒業生や大学の現スタッフ等によるカクテルパーティが開かれた。

○同大学における日本研究は、日本との貿易関係の再構築を目的として始まった。1960年代の終わりまで日本の3大商社(三井、住友、三菱)がクイーンズランド州ブリスベン(Brisbane)に現地事務所を開設し、また1966年には日本領事館が開設され、さらに1972年には総領事館に格上げされた。

○ ジョイス・アクロイド教授(Prof.Joyce Ackroyd)(以前は、オーストラリア国立大学の准教授)は日本語及び文化基金の理事長に指名されており、彼女は女性教授の第一号で、また他州に先んじてクイーンズランド州の高校の外国語教育のなかで日本語教育に寄与した。

○ 同教授の監督下において、日本語・文化プログラムはオーストラリアにおける主要日本文化研究の1つとなっている。同教授は1983年に退官したが、最後の業績の1つが1980年に行った画期的な日本語通訳の適用と移入に関する修士コース(MAJIT)の導入であった。このようなコースはオーストラリアの大学で唯一であり、2001年同プログラムはスイスに本拠を置く国際会議同時通訳協会(the International Association of Conference interpreters:AIIC)(筆者注3)が管理する同時通訳プログラムの第二位にランキングされている。

○ アクロイド教授の承継者は、アラン・リックス(Alan Rix)教授である。同氏は現在副学長(Pro-Vice-Chancellor)で、日本の他の専門分野との学位の統合について推進を行っている。

○ 同大学において現在提供されている日本プログラムは9本で、日本語・比較文化研究所が主催している。

(筆者注1)silk degreesとは名誉学位のことである。オーストラリアの大学の卒業式に博士号、修士号等また専門分野に応じて絹のガウンやフードを着るのである(各大学に詳細な着用規則がある。どうもこれがsilk degreesの語源のように思えるが、あくまで筆者の自己流の解釈である。

(筆者注2)筆者も初めて知ったのであるが、花魁(おいらん)(a courtesan)とは、遊女の最高地位で性風俗の世界のことなので舞妓・芸者とは位置づけが違い高級娼婦であると説明されている。大学の記事の筆者が、このような意味を知った上でこの言葉を使ったかどうかは定かでないが、正確な文化の継承や海外への伝達がわが国の国際化の大きな課題であろう。

(筆者注3)AIICは1953年に設立されて、現在80カ国2,600人以上のプロの同時通訳が加入している。その具体的な役割についてはサイトで確認していただきたいが、国際会議等において隠れた重要な機能を果たしていると言えよう。
http://www.aiic.net/ViewPage.cfm/article8

〔参照URL〕
http://omc.uq.edu.au/news/557UQNEWS.pdf

Copyrights (c)2006 福田平冶 All rights Reserved

0 Comments:

Post a Comment

<< Home