Civil Watchdog in Japan

情報セキュリティ強化、消費者保護、情報デバイド阻止等、電子政府の更なる課題等、わが国のIT社会施策を国際的な情報に基づき「民の立場」で提言

Saturday, April 22, 2006

米国連邦取引委員会、カリフォルニア州司法長官はスパム犯の活動を恒久的に阻止

去る4月12日付で経済産業省は、電話勧誘販売業者に対し、特定商取引法違反を理由として、4か月間の業務の一部停止を命じた。この行政処分についての詳しい内容は、同省のサイト(過去の新着情報)で確認されたいが、その違法性の内容は、①不実告知、②再勧誘、③迷惑勧誘、④重要事項の不告知、⑤氏名等の不明示である。これで4か月の一部業務停止とはいかがかと考えるが、いずれにしてもわが国のスパム(「迷惑メール」と訳されている)規制法は「改正特定商取引に関する法律」(経済産業省所管)と「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」(総務省所管)の2法によって規制されている。(筆者注1)

一方米国のスパム規制の現状は、4月6日に連邦取引委員会(FTC)とカリフォルニア州司法長官(Attorney General)は 連邦法および州法に違反して数百万件のスパムメールを送った企業3社(OPTIN GLOBAL,INC、VISION MEDIA LIまた、今回の裁定は、政府機関が一定の簿記内容や記録管理の法令遵守状況のモニタリングを認める内容となっている。

一方、カリフォルニア北部地区連邦地裁はFTCと司法長官の要請に応じて今後のスパム行為の停止と被告の資産の凍結を命じるとともに、240万ドル(約2億8千万円)の支払命令を下した(実際は、現金38万5千ドルと不動産の売却資金9万ドルの支払いで一時的に支払いは中断延期される。ただし、裁判所は仮に被告の財務状態に虚偽があれば直ちに240万ドルの支払いを強制することになる)。

スパムメールの内容は、住宅ローン、その他の製品やサービスであり、同社は180万通のスパムメールを発信していたもので、連邦取締法である「CAN-SPAM Act」に関し以下の通りの違反行為があった旨FTCは説明している。
①虚偽または偽造のヘッダー情報
 ②サブジェクトのヘッディング内容がいい加減
③一見して広告や勧誘(solicitations)と判断できないメール内容
④さらに多くの広告メールを受信しないための「オプト・アウト」権の告知を行っていない(オプト・アウトの仕組みそのものを提供していない)
⑤有効な住所表示を行っていない

(筆者注1)監督機関のWatchdogとしての姿勢にも差が見られる。例えば、経済産業省は「消費者政策」のサイトで消費者への警告を積極的に出すとともに、「処分状況」についても一覧できとなっている。また処分件数の急増の推移(平成17年度の 業務停止命令の件数は80件と13年度の4倍に増加)や事業社名の公表を行うなど、ある意味では欧米式の活動を行っている。
http://www.meti.go.jp/policy/consumer/index.html
 一方、総務省は平成14年から同17年9月の間の処分件数は4件で、いずれも「表示義務違反」ということで、罰金刑の例はない。また、同省のホームページではこれらの問題の相談窓口は外部団体である「(財)日本データ通信協会」にリンクするのみで、統計もないし、同省が独自に対策に汗をかいているようには思えない。
(筆者注2)FTCの命令の基づく裁定は、裁定目的のみのものであり、法律違反に対する被告の事実の承認行為(admission )をなすものではない。法律に定める裁判所の判決が下され、裁判官による署名行為があって法的拘束力を持つ。

〔参考URL〕
http://www.ftc.gov/opa/2006/04/optin.htm

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