Civil Watchdog in Japan

情報セキュリティ強化、消費者保護、情報デバイド阻止等、電子政府の更なる課題等、わが国のIT社会施策を国際的な情報に基づき「民の立場」で提言

Friday, April 14, 2006

米国金融監督機関の金融機関等に対する迷惑セールス電話やFAXの規制強化の動き

わが国でも休日の朝にけたたましいセールス電話で起こされて不愉快に感じる人が多いと思うが、連邦取引委員会(FTC)・通信委員会(FCC)はこのほど「1991年電話利用者の保護に関する法律(TCPA)」および「2005年迷惑ファクシミリ禁止法( Junk Fax Prevention Act of 2005)」に適用に関する規則の強化に関する改正を行った。その内容は、いわゆる「Do-Not-Call」の登録制度の範囲を銀行、保険会社、信用組合、貯蓄組合等まで広げるとともに、これらの金融機関からの委託に基づきマーケティング活動を行うテレマーケッター等の第三者にまで適用の範囲を広げるというものである。(筆者注1)

これを受けて2005年11月に「消費者保護の法令遵守に係る連邦金融機関検査専門委員会」は、TCPAに関する監督機関共通の検査手順書(Examination Procedures )および検査シート(Worksheet) (筆者注2)を承認した。通貨監督庁は、今後「検査ハンドブック」の改訂を行うがそれまでの間、監督官はこれら手順書等に基づき検査を行うこととなる。

「National Do Not Call Registry:NDNCR」(筆者注3)についてはFTCのサイトで詳しく説明されているが、これら2法の用語の定義・基本的な内容について概要を述べる。
1.共通用語
(1)abandoned call:人によるセールスの呼び出しでない場合、2秒間の呼出し後自動的に切断する必要がある。
 (2) Automatic Telephone Dialing System and Autodialer:ランダムまたは順次電話番号を保存または制作する能力および当該電話番号に基づきダイアリングする能力を持った装置をいう。
(3)既存のビジネス取引関係(Established business relationship)::①電話がかかる18か月以前において個人・企業が電話セールス元企業から買物や取引を行っていた場合、②3か月以内に商品やサービス内容について質問や適用に関する行為が行われていた場合、③当事者間であらかじめそれらの関係を遮断していなかった場合をいう。
これらの場合、受信する個人は製品・サービスに関し、関係を持つと合理的に判断される。
(4)本人の同意なき電話による勧誘(Telephone solicitation):消費者に伝達する買物、レンタル、財産や商品投資、サービスを勧める目的の電話による手引き。Telephone solicitationは本人の同意がある場合、発信者が受信者と一定のビジネス関係がある場合ならびに免税NPOに代って電話する場合はTCPAは適用除外となる。

2.TCPAの一般的要求要件
 (1)FCCの定める規則のもとにおいて、売り手やテレマ-ケッターは次の内容を遵守しなくてはならない。
 ①文書の手順書の作成、②オペレーター等担当者の研修、③接触対象から除くべき電話番号のリストの維持、④架電に先立つ3か月前以内に作成された全米do-not-call 登録の バージョンの使用義務、⑤販売レンタル、リース、購入、等にあたり、いかなる方法においても諸規則に準じない手続きは行わない。
 (2)企業はテレマーケティングの対象から除くべき要求が出されている既存の取引先顧客名リストの維持を行うこと。
(3)すべてのテレマーテッターは、abandoned callを用いるか自動ダイアリングを利用する場合は、消費者に優しい方法によらねばならない。すなわち15秒以内または4回呼び出しに受け手が電話に出ない場合は遮断しなくてはならない。
(4) すべてのテレマーテッターは、「caller ID information」の送信が義務付けられる。
(5)希望されないFAXの送信は、電話のように既存の取引関係による適用除外はないので留意する。すなわち受け手の同意の記録が必要である。

3.金融検査に検査おけるTCPAに関する検査目的
金融機関が適正なポリシー、手続き、その他の内部統制が確立されていることのチェックを行う。

4.検査手順
(1)初期手続き
(ⅰ)検査対象金融機関が直接または外部の第三者を利用したテレマーケティングを行っていない場合はTCPAに関する検査は終了する。
(ⅱ)対象金融機関において、TCPAに準拠した内部統制が適切に行われているか否かについて検査する。具体的には次の項目等が対象となる。
 ①TCPAについて金融機関においての責任者を含む組織図の作成。
 ②TCPAの遵守にかかる計画、評価、実践についての手続きのフローチャートの作成。
 ③受信拒否登録者の電話番号の5年間のメンテナンスの有無等。
④NDNCRに関する行内規則等についての研修内容。
⑤受信拒否者名の登録手順。
⑥NDNCRのデータべースへのアクセス手順。
⑦行内のチェックリスト、作業表、その他関連文書の内容。
(2)検証手続きおよび(3)総括については省略する。

(筆者注1)FTC・FCCの資料でみるとおり米国のテレマーケテイングのほとんどは自動式コールでわが国のような人海戦術でない。それがゆえに、スパム的な大量の呼び出しが昼夜を問わず行われ、社会問題化したことから、その規制策として「National Do Not Call Registry 」制度が出来た点を念頭に入れておく必要がある。
(筆者注2)検査手順および検査シートのURLは次の通り。
http://www.occ.treas.gov/ftp/bulletin/2006-15a.pdf
http://www.occ.treas.gov/ftp/bulletin/2006-15b.pdf
(筆者注3) NDNCRの登録手続き等については次のURL(Q&A)に詳しい。
http://www.ftc.gov/bcp/conline/pubs/alerts/dncalrt.htm

〔OCCのBulletin2006-15のURL〕
http://www.occ.treas.gov/ftp/bulletin/2006-15.doc

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